システムの概要

GO-Shimaは伊豆諸島の大島,利島,新島,式根島,神津島,三宅島,御蔵島周辺海域の潮流情報をweb配信しています.

2017年6月現在,海域を「大島」,「利島,新島,式根島,神津島」,「三宅島」と「御蔵島」の4地域に分け,潮汐による表層および海底付近の流速・流向と50m水深の水温編差を配信しています.

本システムでは,任意の日付時間の予測値を表示することができます.

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なぜ潮流が強いの

伊豆諸島は本州から南方に伸びる伊豆海嶺の上に位置しています.

月と太陽の引力によって発生する潮汐波は,この南北に連なる伊豆海嶺と直行するように東から西へ伝搬しています.

水深が急激に浅くなる伊豆海嶺上では,潮汐流が著しく強められます.

また,あまり知られていないかもしれませんが海面で発生する潮汐に加えて海洋内部では上下層の密度差を境界として内部潮汐という現象が発生します.海の中での密度差は主に水温や塩分によって発生します.

この海の内部の密度境界面で発生する内部潮汐による流れは,非常に強いことが近年の研究によって明らかとなりました.

伊豆諸島周辺では内部波をモデルに考慮することで,再現される潮流が3〜4倍速くなることがわかっています.

内部波は低層の冷水と表層の暖水の鉛直運動を伴うので,内部潮汐を予測システムに組み込むことで冷水の湧昇などを予測することができます.

予測モデルについて

潮流予測モデルGO-Shimaは米国Stanford大学のOliver B. Fringer博士らによって開発された海洋モデルSUNTANSを使用している.

このモデルは十分に検証され,適切な設定を行えば高精度で海洋流体現象を再現できることがわかっている.

茨城大学 増永英治 博士らによって伊豆諸島周辺海域を高解像度に解像するモデルとしてセットアップすることで潮流予測が可能になった.

本モデルは,潮汐のみを考慮しているため,風や黒潮の効果は考慮されていない.そのため,強風時や黒潮接岸時には予測精度が低下する.

謝辞

本システムはJST-CREST研究助成事業の助成を受けています(研究課題:黒潮と内部波が影響する沿岸域における生物多様性および生物群集のマルチスケール変動に関する評価・予測技術の創出).